モーニング娘。『Password is 0』感想
RedZoneへとクロックアップした疾走感ある娘。のチップチューンアップEDM
モーニング娘。'14『Password is 0』（Promotion Ver.） - YouTube
前回のシングルがあまりに破綻した出来だったが、今回のシングルはどちらも失敗なく作られている。というか前回のあの破綻はなんだったのだろうか？？
CMタイアップ部分がまさかのAメロでサビではないという、ハロプロの曲のサビは、いったい何のために存在しているのかわからなくなるが、タイアップの話を忘れれば、きちっとした曲である。
タイアップとして考えると、キャッチーでポップなサビで視聴者を虜にし、お金のかかったしっかりしたアイディアのMVで顧客になってもらう、という機能があるべき曲なのだけれど、CM部分はAメロ、MVは簡素な作りで、ビジネスのプロモーションとしては「頭おかしい？？」と思えてしまう。普通の展開なら、この変な総合プロモーションで顧客が増えるとは思えない。
曲の細かい部分を聞いていこう。
MVはチップ(石)をイメージした空間で娘。がダンスするという、ウィリアム・ギブソンの「ニューロマンサー」のサイバー空間のような世界観で、曲のチップチューンEDMという音楽と極めて相性が良く、衣装も世界に溶け込んでいる。またニューロマンサーらしく、疾走感のある曲で、サイバースペースをハッカーが駆け抜けているようなイメージだ。
(年少メンバーにへそだしをさせるのはよくない。これだけは絶対にやめて欲しい。あとふくちゃんはもっと衣服の面積が少なくても良いと思うんだけど。面積多くてもいいけど)
出だしのイントロは好き嫌いの問題だろうけど、自分はあまり好みではない。もうちょっとEDMらしくした方が良いんじゃないだろうか？イントロからAメロへが、どうも、EDM？？っていう気がしないでもない。
Aメロと何の関係もないイントロがついてるけれど、これがいまいちEDMっぽくカンジない。
ストーリーがはっきりしないというか、このイントロで上げればいいか、熱量はどのくらいかとか、どの方向へ進もうとしているのか見えにくい
イントロからAメロへの継続性に欠けるのと、イントロの効果がはっきりしない。
Aメロは、ベースがない４つ打ちで、途中からベースが入るのは良いと思う。ベースが入る部分への移行のやり方だけど、とくに悪くもないのだけど、ドラムのフレーズだけで移行するのは、あまり雰囲気にはあっていないじゃないだろうか？
あとAメロのパスワードイズゼロという部分を繰り返しているが、この繰り返しの時に、パスワードイズゼロと歌ったあとに、ドラムのフレーズが入って、次のゼロへ導入しているが、このドラムのフレーズは変だと思う(0:37から0:40)。これは無くした方がよい。1回目と2回目の差をつけたいなら、かわりにハイハットの裏打ちでもいれた方がいいだろう。
生音風のEDMならそれで良いが、人工的なチップチューンなのだから、もうちょっと効果音を使って、上がって落とす、みたいな入り方のが良いと思う。いまだと、なだらかに移行しすぎていて、ベースが入った、というカッコ良さにかける。
Aメロの終わり頃「チャンスがきたのに」のあたりで一回ブレイクしてるが、Bメロがリズムをとめてブレイクするタイプのものだから、Bメロの前で一回リズムを切ると、Bメロの効果が薄くなると思う。
Aメロの終わりでリズムブレイクせずに、もっと加速するように盛り上げて、Bメロで一気にブレイク、の方が、音楽的効果がハズだ。
Aメロ終わりでブレイクして、再開して、Bメロでリズム切る、じゃ、いったい何のためにAメロ終わりでブレイクしたのか、その狙いや効果がわからない。
Bメロは、一回リズムを切りつつ、コード楽器で同じ音で刻むというのがEDMらしいBメロで、良いと思う。
Bメロからサビへの移行は、まだEDMらしい方法の正解はあまりないと思うので、試行錯誤しているのを楽しんで聞いている
サビは、背後で回ってる細かいリフが非常に好きだ。またこれがサビに必要な熱量とスピード感を曲に与えていると思う。
また歌メロに対して、微妙な距離感を保って動いてるリフで、その距離感の緊張感が非常に聴き応えがある。
追記：
1:00のところで、ベースが入ってる部分から４つ打ちだけに戻る部分で、「うーん」と歌詞が入っているが、これで継ぎ目が曖昧になってしまっている。せっかく良いSEが入ってダンス風に盛り上げているのだから、声は要らないと思う
Bメロのへの入りで「この世」の「こ」が小節頭より前に飛び出しているが、これもいかがなものだろうか？リズムブレイクのアレンジで劇的に場面を変更しようとしているのに、歌だけがフライングしてしまって、ここも境界が曖昧になってしまっている
