感情表現と曲について

このまえ感情表現の技法について書いたので、その続きのお話です

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その前、ブログのなっきぃの写真、かわいい!最近は太眉路線!

感情表現の技法は基本的に、リズムのポイントに対して、ノリ方や音の強弱、カーブを変更していく技術だ、と書きました。この歌唱技法に秀でているのがベリーズ工房です。℃-uteとは次元が違う。

この技法が生えるのは、『小芝居』タイプの曲で、歌詞に沿って物語を演じていく、という分野に属します。演技の技術が大切な系統の曲。

このタイプの曲は、実際の感情や、ライブ中の雰囲気とは、少し異なる歌詞の感情や世界に、歌唱を合わせる結果になるので、アイドルとライブの間に薄い皮が一枚入ったような状態になります。

こういう小芝居系の曲は、エネルギーとかパワーとかリズムの強さなどの「熱狂」を伝えるのには向いていない系統で、音楽という分野全体で考えると、あまり大きくない一つの分野、という事になります。音楽には色々な表現がありますので、小芝居系はそのうちの1つの表現方法です。

℃-uteの場合は、リズムのポイントに対して、常に同じように同じ音量、同じエネルギーでノルという技法です。細かく言うと、あいうえお的な一文字一文字に対して微妙に処理の方法が違うのだけど、各メンバーが文字に対してほぼ統一して同じ処理で歌ってます。(多少、違う所はある)

日本語の場合、あかさたなに対して、系統的に子音の発音場所があって、これがタイミングとカーブをどのように処理するかを系統だてる基本になってるかと思いますので、興味ある人は、一音一音を何回もリピートさせて、音が鳴り出すタイミング、その微妙なピッチ、子音がなったあとのカーブをどのようにつくり、次の音に対して、切って入るところと、つながって入るところ、しゃくりで次の音に移動してるか、などを研究してみると良いかと思います

℃-uteの場合、歌詞にかかわらず、あかさたなに対して、常に同じ処理を加え、それをメンバー全員でほぼ同じ処理をするという、約束事になっています。

 

このタイプの表現方法だと、パワーやエネルギー、リズムを伝えるのに向いているスタイル。なので、曲はあまりメリハリを付けたり、細切れにしたりしてはよろしくない。変なブレイクや、メロディの渋滞や、細かい単位でのメリハリや、切れ切れであえて緊張感を作るという、つんくちゃんプログレ系の技法と、根本的に『相容れない』スタイル。

℃-uteに合う音楽は、ある程度リズムを単調にして、メリハリを下手につけたりせず、立ち止まるようなブレイクなどせずに、とにかく疾走感をつける。メリハリをつけると曲の中で細切れになっちゃうから、熱狂とか熱気が生まれにくいんです。4分間一定レベルで速度を上げていったりすると、こういうところで、陶酔感や熱狂感が生まれてくる

もともと℃-uteの音楽は、他のハロプロに比べて、そういう系統の音楽ではあったのですが、ここ1、2年は、その方向性をしっかりと進めてくれて、悲しきヘブンも疾走感を強くするようリアレンジされていて、いよいよ℃-uteに似合った音楽になってきました。

 

つんくちゃんの音楽の感性だと、とにかく疾走感を打ち消すような音楽要素を次々と付け足してしまうんです。これが℃-uteと合わない。そして細かいペースでブレイクやメリハリをつけると、これも疾走感や熱狂感を打ち消してしまう。とにかく音楽を立ち止まらせちゃダメなのだけど、つんくちゃんが好むのは、立ち止まってスポットライトを浴びる、のが好きな系統の音楽の作り方。

The Powerとか、つんくちゃん好みのアレンジとは、まったく逆のスタイルになりました。

ハロプロファンが一聴するしたら同じように感じる(過去のハロプロ)曲も、しょっちゅう歩みの速度を変えさせる音楽パーツが入っています。

歌メロディでリズムを作ろうとする癖がつんくちゃんにはあるんですが、リズムは4つ打ちリズムセクションに任せるべきで、歌の方で別の繰り返しリズムを作っちゃうと、それが衝突してしまう。

The powerはリズムが変わっても、ちゃんと4つ打ちの感覚が残り続けるし、歌詞で違うリズムを作り出すのではなくて、かなり細分化された音符を入れてきて、これが4つ打ちに強くノレている原因だと思います