「でんでんぱっしょん」のスピード感

でんぱ組.incの叩き出すスピード感についての話

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でんぱ組.incのアンセム「でんでんぱっしょん」。アイドル界最速をほこるスピード感があるが、インストの方は案外伝統的なバンド音楽である。スピード感のかなりの部分は畑亜貴の歌詞だろう。

実際、同じ作曲者、玉屋の最新曲「サクラあっぱれーしょん」は歌詞も玉屋が書いて、これが歌詞のメロディのはまり感が適度に良すぎて、スピード感に貢献していない。

でんでんぱっしょんの頃は、アーティスト写真なども、芸術性とスタイリッシュ感のあるものだったが、サクラあっぱれーしょんや直前のアルバムは、ごちゃキャラポップ感へと変更されており、この路線の変更が、曲想の変化とも関わるのだろうか?

 

サクラあっぱれーしょんでは、歌メロを食い気味に、前のメロに重ねて始める手法で、スピード感を稼ぐ事をやっている。これは、でんでんぱっしょんでもやっている。

「あいの手」も、でんぱ組がスピード感を作る手法の一つだ。

この「あいの手」も食い気味やかぶせ気味に入れて、これがまたスピード感をかせぐ。

 

BABYMETALのギミチョコはメタルコア系統で疾走感を作るし、℃-uteはLove take it all のゲームテクノポップ系で、さらにアイアンメイデン風の「馬鹿でもわかる」フレーズを次々と繰り出す手法で疾走感をつけた。℃-uteのスピード感の作り方のテクニックは今後の記事で書こうと思う。

 

全体的にアイドル音楽は、疾走感やスピード感を重視する方向へ進んでいて、すべての曲でスピードを稼ぐ必要もないけれど、やはり、スピード系の曲では、そのアイドルグループに似合ったスピード感を作る手法の熟練が求められている。

 

スピード感を作る技術戦争で敗北をすると、やはりアイドル音楽として低迷するので、ここの技術はしっかりと研究し、練度を高めるべきだろう。

 

℃-uteのLove take it allの場合、息をたくさん使うフレーズで、熱量で疾走感を強めた。でんぱ組.incは、歌詞を早口で詰め込んで疾走感を作るのだけど、下手に詰め込むとかえってスピードを落としてしまうことになる。つんくちゃんは、ハロプロ系楽曲で、よくこの失敗をしている。

 

畑亜貴の歌詞はメロディにはまりがけっこう悪く、それがスピード感を作っている。下手にメロディにきっちりハマって、早口で詰め込むと、かえってスピードが落ちる現象があって、サクラあっぱれーしょんでは、そういう部分ある。

最近のつんくちゃんも、歌詞のはめ込みがうますぎてかえって、スピードが落ちてる事が多い。

都会の一人暮らしは、最近ありがちな、はまりすぎという失敗を乗り越えていて、ひらがな系の歌詞のはまらなさが良い感じだ。けれど、これは森高システムで、社内に森高の歌詞をある程度書いてた人がいるのだろうから、そこらへんの技術ではなかろうか。

 

メロディの流れと歌詞の流れがぴったり合いすぎてると安定感が増してしまいスピード感が落ちるので、メロディと歌詞の流れがつかず離れずくらいの緊張感があると、その不安定感が音楽の推進力を作り、スピード感を生み出す事になるわけだ。

 

まとめておくと、でんぱ組.incのスピード感の作るシステムは、歌メロを前のメロが終わらないうちに、かぶせて始める、あいの手を使うし、これもかぶせる事が多い。こうやって、フレーズやあいのてを食い気味にする事で、畳み掛けるようなスピード感を作っている