℃-ute楽曲の推進力考察その1
アダムとイブや心の叫びで使われるエフェクト
歌メロと歌メロの間に、どういう音を入れるか、それが曲の推進力を作る、もしくは推進力にブレーキをかける、と、このブログでは何度も論じてきた。
女子流などの系統の曲は、たいていドラムやベースのリズムセクションで、推進力を作る。
EDM系の曲、help meとか、perfumeのsweet rainとかはベースの雑音みたいな刺激的な音で推進力を作った
ベリーズは歌謡曲みたいに、メロのオブリガートを入れる事で推進力を作ろうとしたが、大人なのよは失敗している(と何度も書いた)
でんぱ組.incは、あいの手を、メロとメロにかぶせながら入れたり、前メロが終わらないうちに、次のメロをかぶせて、推進力を作る。
ピアノなどの和音楽器のバッキングや、ブラスセクションのちょっとした和音の組み合わせで、推進力を作る曲もある。℃-uteのラブテイクはこのパターンが多い
℃-uteのアダムとイブ、心の叫びを歌にしてみた、で使われてる、歌メロと歌メロに入れる音に、空間系エフェクトの「ディレイ・エフェクト」がある。
ハロプロの他のグループで、ディレイを聞いた覚えがないので、たぶん、℃-uteの特徴の一つだろう。
どちらの曲もAメロの最初のあたりで、歌メロのフレーズが終わったあとの空間に、こだまのように、ディレイがかかっているのが聞き取れると思う。
複雑なメロのオブリガードを入れたりして、歌謡曲みたくしてスピードを減じたりしていない。ベースなどのリズムセクションもまず動かさない。
このディレイエフェクトにどのくらいの効果があるのか、いまのところ自分はわからない。ダンス系の曲は、こういったテンポに合わせたディレイをかけることはありがちなので、考え方は納得できる。
℃-uteの楽曲がSE(効果音)を重視しており、空間系のエフェクトをよく使う趣向があるので、これもその一環なのだろう。
久しぶりにアダムとイブの楽曲についての感想も書いておこう
アダムとイブは一応EDMという事になっているが、シンセベースがそういう類なのかなっていう程度で、4つ打ちのマイナーリズム歌謡と思って良いが、SEの使い方に強い趣向があり、大変きらびやかなワールドを作っていると思う。
ドラム?系のリズムはあまりつかわず、またダンス音楽だけれど、裏打ちを作るのもあまりやっていない。という、けっこう変則的なところのある楽曲だ。かなり変わったことをやっていると思うけれど、ぼんやりと聞いていると、けっこう普通の4つ打ちに聞こえてしまうかもしれない。
コード楽器やディレイや、裏打ち風のフレーズを聞いていると、だんだんフーガのように複雑にずれながら絡み合っているようにも聞こえ、バロック様式の美術品のようにも感じる。
なかなかに細かい装飾部分に美しさのある作品であり、逆に単純に盛り上がりや刺激を求める人間には、なにも印象に残らなさそうな、そういう作品でもあると思う。
SE命みたいな所のある楽曲で、そこに声のディレイや、あえぎ声などが入り、歌メロディの効果音で曲を作ろうとする意図が大変に強いのだ。
2013年以降の℃-ute曲が、SE重視系、空間エフェクト重視系、ヴァンゲリスっぽさも感じるような空間の広がりを作るシンセサウンド、と云う方向性に進んでいる中で、アダムとイブもそういう位置づけにあるのだろう。
SE系に耳が慣れてない人は、ヴァンゲリスでも聞いて、感覚を養ってみて欲しいとも思ったりする