モーニング娘。「時空を超え、宇宙を超え」ラジオ音源その2

意味がわからなさすぎて良いジャケ写!娘。ワールド!

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娘。コンの終盤にありそうな曲の系統だ。「雨が降らない」とか「涙っチ」、直近では、「笑顔の君は太陽さ」。

℃-uteだと「たどり着いた女戦士」とか「夢があるから」のタイプ。℃-uteコンだと中盤あたりにあるタイプ。

このタイプの曲は、ピアノを使って情感をもって始まり、そして徐々に盛り上がっていく、ストリングを使って感情を煽る!というのが基本だ。

 

EDM音色のみを使った「笑顔の君は太陽さ」は、当時、当ブログで書いたように、このタイプの曲に必要な「熱気」を煽るような展開を作り出せなかった。

なぜならEDMとは、耳に不快な刺激を与えて興奮させるという、基本的に下品で刺激的なだけの音楽だからだ。

情感を煽る必要のある曲で、EDM音色だけを使うのは失敗だと書いた。その代わり成功した部分は、静謐さがあり、これが独特な悲しい雰囲気を持った、とも書いた。

http://idealogos.hatenablog.com/entries/2014/01/12

 

さてこの「笑顔の君は太陽さ」の失敗を、すぐにカバーしてきたのが、今回の曲「時空を超え、宇宙を超え」だ。

まず音色に、ピアノとストリングを加えた。これで、このタイプの曲に必要な盛り上がりを作ることが可能になる。

さらに、洋楽っぽいメロディだったものを、和風のメロディに変更してきて、さらにコード進行に味をつけてきた。おそらくディミニッシュを使っているんじゃなかろうか?もしくはsusか? いつもよりコードにアヤがある。コードのちょっと複雑な和音で情感を盛り上げようとしてきている。

 

泣かせの曲は基本的に下世話なのだから、ピアノ、ストリング、ちょっと複雑なコード(基本はディミニッシュ)で、ひたすらベタに盛り上げるのが、やはり正しい。

 

というわけで、今回の「時空を超え、宇宙を超え」は合格ラインを超えた曲だ。

世界感、音楽パーツ、コード、メロディ、が相性良く、きっちりピースとしてハマっている。

個人的好みとしては、こういう悪夢のフィリップ・K・ディックのような現実と狂気が入り乱れたような世界感の音楽はちょっと苦手だ。

 

℃-uteのたどり着いたはおそらく上杉さん作曲で、つんくちゃんじゃないだろう。

つんくちゃん作曲のこの手のタイプは「涙っち」が最高傑作で、もはや新しくどんな曲を作っても、涙っちを超えるのは無理、だと思うのだ。

綺麗なピアノから始まって、静かでしかもハロプロらしい『共感できる日常的な事柄をちょっと洒落た言い方をする歌詞』のAメロから始まって、サビで一気にもりあがる。しかし、2番はさらに盛り上がってくる、つまり、1曲が全体として、少しずつ盛り上がるように設計されている。

2番のあとのラップで、最高潮に盛り上がったあと大サビで盛り上がって歌って、そのあと一気にピアノ伴奏だけで簡素に歌う、この盛り上がりからの静かさ。ここで完全に『泣かせる』。ひたすら下世話だけれど、徹底的に泣かせるための仕掛けが噛み合っていて、非常に高いレベルの楽曲になっている。

 

涙っちを思うと、この「時空を超え、宇宙を超え」は至らないなぁと思う

 

コンサートに行ったら、1回は泣きたい派なので、泣かせ系の曲の出来は、自分にとっては凄い重要だ