音楽で客層を広げる。スクラッチの場合。その4

ハービーの話はこの先がありまして、けっきょくMVが良かったのか、この曲Rock itでグラミー賞まで行ったんです。

今の時代にこのRock itを聞くと、クラブで流行ってるスクラッチをジャズに取り入れたんでしょ、くらいに考えてしまうと思いますが、どうもこの時代スクラッチは一部のクラブのみで行われていて、一般的な技ではなかったらしいです。

このアルバムは、クラブ系の曲が多くて、けっこうディスコファンク??って思う保守的な曲も入っている。アルバムの1曲目に、まだほとんどの人が聞いた事ないスクラッチプレイを仕込んで、驚かしたい!新しい音楽を聴かせたい!という意気込みだったようです。

グラミー賞のライブで、MVの世界観でライブパフォーマンスした。MVの世界観は、ハービーが考えたものじゃなくて、MV監督が、どうやって新しい音楽を映像で伝えようかと、試行錯誤した結果の作品。その作品の世界をもとにライブパフォーマンスをやります


ROCK IT by HERBIE HANCOCK 26th 1983 ...

このライブ、後半が驚かせる仕掛けになっていて面白い。全部、機械仕掛けのダンサーに見えていたんだけど、その一部の機械仕掛けのダンサーが、突然、自由にロボットダンスをやりはじめるという。

テレビで初めてスクラッチのDJがあの位置でスクラッチプレイをしました。GrandMixer DXTという人。

これで、スクラッチが世界中のクラブに伝わってムーブメントになる。

この動画、なんだかよくわからないけど、かっこいいし、おしゃれだし、インパクトあると思いませんか!?

機械仕掛けのダンサー、よくわからない後ろのボックスでターンテーブルを回している人!

こういう世界がなんか、かっこいい!みたいな。

Rock itっていう曲を作った時は、まあスクラッチとジャズを組み合わせて、といったところまでがイメージだったのでしょうか、こうやって、MV監督の世界観から、ロボットダンス、またライブの後部のボックスでDJがスクラッチプレイなど、見せ方がつぎつぎ作り上げられていく。

こうしてわかりにく新しい音楽が、かっこいい、おしゃれ、というインパクトやイメージとして、わかりやすく伝わっていくのかな、と思います。