Juice=Juice「風に吹かれて」作曲法の問題点(アウフタクトについて)
金澤朋子様が良いカンジ!
Juice=Juice『風に吹かれて』[Blown by the Wind] (Promotion ...
最初、森高の曲かと思った(笑。
あとこのMV、苦手なかりんちゃんです。最近表情が大丈夫になったのだけど、これは久しぶりにダメなやつだ、と感じました。
曲のタイプはスピード感を重視した4つ打ち、マイナー歌謡曲。ハロプロではプラチナ期のB面の「愛して愛してあと一分」「愛されすぎることはないのよ」や℃-uteの大抵の楽曲に多いタイプ。けっしてプラチナA面タイプの曲ではない。プラチナA面曲と℃-ute系の曲は方向性が異なる。実績から考えると、℃-ute系の曲を、プラチナB面に入れた、というカンジだろう。
プラチナA面の系統の曲は、曲の推進力をぶつ切りにして、プログレシッブに処理する、いつも批判しているタイプの曲です。
℃-ute曲とプラチナB面系の4つ打ちは疾走感重視で、本来の4つ打ちに近いタイプの曲。
いまのアイドル楽曲の流行りは全体的に、歌詞にかかわらず同じようにリズムに乗せて、パワーと疾走感を重視するタイプの曲です。ハロプロでいうと℃-uteだけが、そのタイプのグループ。
流行りからもっとも遠い、歌詞やメロディによって少しずつリズムのポイントへの乗り方をかえる小芝居系の歌唱法と、すこしゆったりとしたリズムという特徴のBerryz工房はこの4年間、人気が一定ペースで落ちて行きました。
ここ数年間、音楽として大きな人気があるのは、℃-uteのように、同じようにリズムにのって曲の推進力を加速せさていくタイプなのでしょう。
さて「風に吹かれて」について。
イントロはニコ動楽曲みたいに軽く安っぽくなっていますが、それでも今流行りのスピード感は出せているので、良いのではないでしょうか
ところがAメロに入って、がっつり減速してしまう。
メロディが小節の頭の前から始めるアウフタクト、という技法が、現在のアイドル楽曲では大切で、これでスピード感をつけたり、曲の進行力を強くしています。
そういうのを全くつかわない、またAメロ前のインストでやたらブレイクやキメを作ってしまって、せっかくのスピードを一気に止めてしまってる。
このイントロに対しての正しい処理方法は、変なキメやブレイクは入れずに、そのまま長いアウフタクトでAメロに突っ込んじゃう、これで曲の推進力が出ます。
Bメロは「止めて」が強い印象と音量で入るから、これが曲の進行を止めてしまう。アウフタクトはあくまで「弱始まり」で次のかたまりにすうっとのせていく必要があるのだけど、これは小節に入る直前の強く決めてしまうから、スピードがぐっと減速する。
Bメロサビの間は、いつものように完全に途切れちゃってる。途切れるのはBメロの終わり方を強く終止するようなメロディにしてるにもかかわらず、次のサビがなかなか始まらないからです。もしBメロとサビの距離が遠いなら、もっと中途半端に終止させて、次に繋げなくちゃいけないのに、この曲はBメロで完全に曲が終わるメロディにさせてる。
Bメロで終止形を使うときは、サビが長めのアウフタクトでないと、曲の推進力が止まります
たとえば出来の良いThe PowerのBメロとサビは距離が遠いけど、Bメロの終わり方が中途半端に途切れてる。これでBメロからサビへ加速するインストがつくれます。
The Powerはサビも中途半端で終わるから、曲が始まりから終わりまで数分通して加速し続けます。1番2番と途切れ途切れにならない。
「風に吹かれて」はスピード感を出してるから、メロディを上記のような工夫で作らないと、流行のスピードとパワーに足りなくなってしまいます