℃-ute「女性中間管理職」感想

フリコピが楽しみな振り付けの曲!


℃-ute『The Middle Management~女性中間管理職~』(Promotion ...

 

これまで音源はハロプロで制作していたが、今回、ダンス音楽プロデュースグループへと丸投げしたのが、この曲「女性管理職」だ。
 歌詞の方だけつんくちゃんが書いている。
 
 ダンス音楽を製作チームに丸投げした効果が如実に現れた曲となった。
 メロディやコードというよりも、音が空間を作っていく、音が箱を満たし、動いていく事が優先された曲となっていて、フロアやライブハウスなど「箱」の中に立体化された音を体で感じたときに「快感」を憶える作りになっている。。

 純粋に低音を感じるだけで快感が生まれるという、ダンス音楽として、極めて正統派な作りとなっている。ハロプロの音楽にありがちだった、脳を通さないと面白さがわからない、快感を感じにくい曲ではない。
 色々な音源が、空間的に回転したり移動したりするので、箱の中で音が移動し舞う。
 曲の最後に残るウーファーで鳴る極低音が気持ちよい

 サビのメロディはアウフタクト(小節のド頭よりの前の弱拍)で始まり、メロディが曲の推進力をとめない。Bメロ終わりからサビ始まりの橋渡し部分は足を地面につけないタイプで、そのままなだれ込むタイプ。
 この2つの要素はつんくちゃん作曲にはなかったが、この手法こそが4つ打ちの良さを引き出すので、おそらくサビは短いけれど、きっちり盛り上がっているハズだ。
 とくに最後のサビは今までのサビを2倍に引き戻したものだけれど、この単純性がダンス音楽の良さを最大限に引き出し、盛り上がりを作っている。
 4つ打ちに必要なのは、単純に4つノル気持ち良さの快感であり、これには起伏の少なさが大切な要素だ。
 
 歌詞の方の感想を書こう。良い所と悪い所を感じた。
 良い所は大変に細かい部分なので、先に悪い所を書こう。
 
 この曲の問題というより、つんくちゃんが歌詞を書く事に対する悪さみたいなもので、つんくちゃんの芸域の狭さを感じる。結局、20歳くらいの女子の歌詞は書けず、『アラサー女子のグチ』というプラチナ期にさんざん書いた歌詞を繰り返している。
 20歳くらいのアイドルグループに、アラサー女子のグチを歌わせる事が、アイドルグループの売りだしとして戦略的にやらせているというより、つんくちゃんの芸域の狭さから、結果的にそうなっているという問題だ。

 サブカル系アラサー女子のグチをリア充系ハタチの℃-uteちゃんから聞くのが、アイドル的に楽しいのかどうかという。
 この歌詞だと赤文字系またはリア女子というターゲット層には共感はないだろう。ただ元来、ヲタヲタしい系女子は切ってるのが℃-uteの戦略なので、ヲタヲタしすぎない青文字系は「とりあえず」まだ掴んでおこうくらいのところか?

 ちなみに個人的には、歌詞に共感する所が全くない。そもそも個人商売や小さな規模の会社だと、こういう雰囲気にはならないと思う。ある程度の規模のオフィスで働くときの話だろうか?共感できる人(職種)を結構選ぶ歌詞だと思う。
 そもそも独り身じゃないと共感できないと思うし…合コンも騙されて1回行っただけだし。
 歌詞にある色々な状況が自分の体験した事もない話しだし、℃-uteちゃんからも遠い出来事だから、上手く比喩的な意味合いにしても自分の状況に合わせるが難しくて、どういう気持ちで聞けばいのか全くわからない。


 歌詞の良い面を書こう。

 歌詞の歯切れが良く「カ行」「タ行」にこだわりを見せるつんくちゃんの真髄が現れている。また、身近な事を上手い言い回しで表現して共感を誘うという、自分が考えるにつんくちゃんの一番良い面が現れている。

 歌詞のリズムの良さだけれど、例えば最初の1パートに凝縮されている。
 「気がつけばいつのまにかほら みんなが年下」

 最初の4つの文字「きがつけ」が、カタ行系ばかり使われており、メロディの最初の音のリズムを強調している。つまり、フレーズの出だしをはっきりさせる、というつんくちゃん流の音楽解釈による歌詞だ。
 そして最後の4文字が「としした」で、タ行とサ行。サ行は抜けが良く、また女子の清涼感が現れやすい音。タ行の歯切れとサ行の音抜けだけを組み合わせた4つの音で、これまたメロディの終わりを音のリズムで強調してしめている。
 この出だしと終わりをはっきりキメる、というのがつんくちゃんの音楽の基礎定理だ

 舞ちゃんパートは割と、この歯切れの良い歌詞だけれど、なっきぃパートはむしろ割と粘る歌詞だ。「ナ行」「ラ行」が粘りやすく、また子音をつなげるノリの役割の「ア行」「ん」があると、やはり音は粘性を持つ。
 なっきぃパートの歌詞を見るとわかるが、このナラ行とンの使い込んである。
 ほぼ最初からここはなっきぃのパートだと決めて書いたのだろう。なっきぃの粘るしゃべり方がかわいいと判断しての事だろうか。

 Bメロは愛理パート以外はカタ行で終っていて、フレーズの終わりを強調させてきちっと終止させている。

 サビも前半のフレーズは、全部「て」で終了しており、あくまでつんく流音楽解釈をしているのがわかる。
歯切れの「カタ」行がいちばん強い終止で、次に抜けの「サハ」行が次に強い終止になる。

  
 個人的なこの曲の好き嫌いは、今回のシングルの中で、「どうでもいい」曲に分類できるレベルだ。インストの出来がダンス音楽で良いから、快感があり、そういう所が強く評価できるし、現場での音空間も楽しそうだ。